皆さんの学校ではこんな声が聞こえませんか?自分が発していませんか?
授業が嫌だ、生徒が真面目に授業を受けないといった悩みを解決するには、生徒に「聞かせる」「参加させる」授業をやめることをオススメします。
自分は教員を10年以上勤めていますが、その半分以上を上のような悩みを抱えて過ごしてきました。
さまざまな解決策を試して辿り着いたのが生徒に「聞かせる」「参加させる」をやめた授業です。
これにより授業をすることのストレスはほとんどなくなりました。
また授業中に生徒に対して腹が立ったり、モヤモヤしたりすることもなくなりました。
自分が授業でやめたこと、代わりにどうやって授業をしているかをご紹介します。
授業でやめて良かったこと
授業でやめて良かったことは次の2つです。
- 授業を聞いていない生徒に聞くよう指導すること
- 授業に参加していない生徒に参加するよう指導すること
つまり生徒を自分の思いどおりに動かそうとするのをやめました。
以前はこのように考えていました。
「生徒は未熟だから教員である自分が指導して望ましい状態にしなくてはいけない。」
しかしこの考え方では教員を続けられないと感じるようになりました。
そこで上記の2つをやめて次のように考えるようにしました。
「自分自身を向上させることや自分を必要としてくれている生徒に対して全力を尽くす。」
そしてこれを自分の授業の出来不出来の基準にし、生徒の反応で評価するのをやめました。
授業に対する考え方を変えてから授業をするストレスがほとんどなくなりました。
今では生徒からどんな考えが出てくるか授業を楽しみにするときもあるくらいです。
「聞かせる」「参加させる」をやめた理由
生徒に「聞かせる」「参加させる」をやめた理由は以下の3つです。
- 生徒に授業を聞いてもらえないこと、生徒が参加したくなる授業ができないことで自分の授業力に自信をなくしたから
- 授業を聞かない生徒、参加しない生徒にイライラするようになったから
- 教員であろうが人を変えることは難しいと気づいたから
自信をなくしたから
生徒が授業を聞かない、参加しないのは自分の授業力不足だと思っていました。
生徒が興味をもつ授業をしようと、さまざまな方法を勉強しました。
しかしどの方法を試しても全員を授業に参加させることはできませんでした。
次第に授業に行くのが怖くなりました。
イライラするようになったから
授業以外のさまざまな仕事をこなしながら必死に準備しても授業がうまくいかないことが繰り返しおこりました。
これにより生徒に対していらだちをおぼえるようになりました。
「こっちは忙しい中、準備してるのに寝たり内職したり好き勝手しやがって(怒)」
その怒りを発散させることができず、段々授業に対する熱がなくなっていきました。
「どうせ俺の授業なんか誰も聞いてないから準備はテキトーでいいだろ」
こんなふうに考えるようになりました。
人を変えることは難しいと気づいたから
授業に対してなげやりになっていましたがこのままではいけないと心の底で思っていました。
西川純教授の『学び合い』やアサーションを勉強したり、同僚に相談したりする中で、自分が納得できる答えを模索しました。
現在は次のように考えています。
「そもそも教員だからといって生徒を簡単に変えられると思っていることが間違っているのではないか。」
「自分が変えられない生徒もいるが変えられる生徒もいる。そういう生徒の期待に応えよう。」
この考えになってから生徒に対してこれまで以上に寛容になれたと感じています。
授業をこう変えました
以前は1つの授業中ずっと講義をしていましたが授業を次のように変えました。
前回の復習
ここでは前回授業の振り返りに書かれた質問に回答します。
生徒の質問は新たな気づきを与えてくれるのでとても勉強になります。
生徒と教員がともに学べる授業になっています。
講義
講義は生徒が教員の説明を聞く時間を極力短くするようにしています。
そして自分の説明を理解できる生徒、聞いている生徒に向けて行うことを意識しています。
説明を理解できない生徒がいること、聞く気のない生徒がいることを許容します。
説明を聞かない生徒を聞かせることよりも自分の説明する力を向上させることに集中します。
これにより自分の授業力を磨きたいというモチベーションがわいてきます。
生徒のためではなく自分のために努力する。
それが結果的に生徒のためにもなると考えています。
問題演習
問題演習では解答から答え合わせまでを生徒が各自で行います。
一人で解いてもいいし、誰かと一緒に解いてもいい。席を移動しても構いません。
全員がすべての問題を解ききることを求めます。この辺りは『学び合い』の考えを取り入れています。
問題演習に取り組む生徒がほとんどですが中にはやらない生徒もいます。
やらないこともある程度許容します。
問題を解いていないから即指導ではなく、様子を観察し、必要であれば事情を聞くようにしています。
やらないことを許容する理由の一つは教員の自分を追い込まないためです。
生徒が授業に参加していないと自分の授業力不足が原因と考えがちです。
しかし授業がつまらないからが原因とは限りません。
もしかしたら生活面に問題があって授業に集中できないのかもしれません。
だから生徒を責めたり、うまくできない自分を責めたりせず、自分にサポートできることがあればするくらいのスタンスでいます。
振り返り
振り返りでは生徒に自身の取り組みを振り返らせ、授業内容で理解できたこと・できなかったこと、感想を記述させます。
生徒からの質問を積極的に募集しています。
理由は教員がわからないことは生徒がわからないところだからです。
生徒の質問によって「そこがわからないのか!」「ここでつまずいているのか!」ということがわります。
これが教員の自分にとって大きな学びになっています。
まとめ:生徒ではなく自分を変えることに集中する
生徒を変えることを目的にした授業をやめたということをご紹介しました。
生徒を変えることではなく自分を変えることに集中するメリットは次のことだと感じています。
- 生徒を変えられない自分を責める必要がなくなる
- 変わらない生徒にイライラしなくなる
- 自分の資質を向上させることに積極的になれる
教員のモヤモヤは生徒を思いどおりに動かせないことに原因があると考えています。
生徒を思いどおりに動かそうとすることを手放せばストレスの多くはなくなります。
自分自身のために「教員とはこうあるべき」という考え方をぜひ変えてみてください。
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